和室の壁を洋室風に!DIYでリフォームする方法

DIYのこと

最近、中古住宅を購入される方が増えています。
築古の住宅をあえて購入して、自分好みにDIYでお得にリフォームにチャレンジしようと考えている方もいるでしょう。
古い戸建にほとんどある和室は、特にリフォームして住みやすくしたいところですね。

特に、伝統的な和室の壁として多い砂壁や繊維壁。
日本の気候に合わせた調湿機能や消臭効果がある反面、古くなってくるとカビやシミが浮き出て、困った状態になることも。

この記事では、和室独特の壁のリフォームについて書いていきたいと思います。

準備編:和室壁の種類や構造を知ろう

和室の壁には大きく分けて「真壁(しんかべ)」と「大壁(おおかべ)」の2種類があります。

真壁

木造建築で柱や鴨居といった木部の部分が露出している壁のことを「真壁」と呼びます。
柱と柱の間に壁を仕上げる方法で作られているため、構造材の柱が見えている「真壁」では、木部と壁部分に段差があり、壁面はデコボコとしています。

大壁

木造建築で柱の外側に壁を作る構造のことを「大壁(おおかべ)」と呼びます。
最近の住宅に多く用いられ、柱は壁の中にあるため隠れている状態になり、壁一面が平らになります。
最近の新築物件やマンションの和室などでは大壁が採用されているケースも多くみられます。

和室の壁のリフォーム時に考えておくこと

リフォームしたい和室の壁の種類が分かったところで、どのようにリフォームを進めていくのか、壁の構造を踏まえて段取りを考えていきましょう。

大壁の場合、真壁に比べて工程が少なく比較的簡単にリフォームできます。
大壁に貼られている壁紙を剥がして、新しい壁紙を貼ることもできますし、既存の壁紙の上から塗れるペンキや珪藻土などを塗ることも可能です。

対して真壁の場合には、

「壁の段差をどう解消するか?」
「段差を残す場合どういうデザインにするか?」

という点について、自分なりのデザインプランを考えて進めていきます。

和室の壁リフォームのデザインプラン例

どんな部屋にしたいのかによって、壁のデザインや施工方法も変わってきます。
ここでは和室の壁リフォームのデザインプランの例をご紹介します。

壁リフォーム例1:段差を解消する施工=「大壁」を作る場合

段差のある真壁を大壁にするにはリフォーム会社にお願いしないとできない、と思っている方。実はDIYでも可能です。
石膏ボードや木材のカット、パテ塗りやサンディングなどの作業があるため、ある程度の道具を揃えられれば、セルフリフォームできます。
一般的なのは、柱と柱の間に「間柱」を入れ、壁面に石膏ボードや合板を貼る方法です。

手順としては、

  1. 下地処理1…長押や不要な壁の撤去
  2. 下地処理2…間柱の設置
  3. 下地処理3…石膏ボードor合板を貼る
  4. 下地処理4…パテ処理とやすり掛け(サンディング)
  5. 壁の仕上げ…壁紙クロス貼りや塗り壁・塗装

1:下地処理1…長押や不要な壁の撤去

ボードや合板を貼るのに邪魔になる「長押」は、バールなどで引き剥がします。
高級な木造建築でない限り、長押は意外と単純な取り付け方をされているので、思い切って外していきます。
古い和室だと、長押を止めているのはビスではなく長い釘の場合もありますので、気を付けて作業を進めてください。

長押をバリバリと剥がしていると、その長押が打ち込まれていた柱が見えてきます。
この長押の土台の様な柱も撤去します。
この柱はボンド等で接着してあるだけの場合が多いため、こちらも長押と同様思い切って引き剥がします。

注意したい点
長押も土台の柱もバールなどでテコの原理を使って剥がす場合は、壁自体を傷つけないよう添え木などをして行ってください。穴が空きますからね。

不要な壁などをなくしたい場合もこの段階で撤去していきます。
壁を壊していったら筋交いが中から出てきた時には、躯体に影響が出ないよう筋交い部分の柱は残します。

2:下地処理2…間柱の設置

柱と壁の段差を無くすため石膏ボードや合板を壁全面に設置していくのですが、その前に段差を解消するための処理を行う必要があります。

それが間柱の設置です。柱と柱の間に角材で間柱を設置し柱との段差を解消します。
角材は303mm間隔で2本入れるのが基本になると思いますが、構造によっては間隔を調整する必要がある可能性もあります。

角材を配置する場所には、真壁の中にある柱に合わせてビスで固定しますので、「下地探知機」「下地センサー」「下地探し」などを使って壁の中を調べます。
壁をコンコンと叩いて柱の位置に見当をつけることもできますが、より良い精度を求めるならば、下地探しなどの道具があると安心です。

古い部屋は歪みが生じている可能性もありますので、柱を真っ直ぐに設置しようとしても壁との間に隙間ができてしまうことも。
そういった場合には、4~5cm角くらいに切った3mmベニヤをある程度の枚数用意しておき、ビス打ちの際の高さ調整に使いましょう。

3:下地処理3…石膏ボードor合板を貼る

下地材を固定できたら、石膏ボードもしくは合板をビスで貼っていきます。
合板は表面が凸凹しているため、壁紙クロスは貼れません。
仕上げ材を壁紙クロスにする場合には下地は石膏ボードにします。

石膏ボードは思った以上に重く脆いので、誤ってどこかに角をぶつけて欠けさせてしまうといったことのないよう取り扱いに注意しましょう。

石膏ボードのカットはカッターでできます。
大きめのカッターの方が歯が入りやすく、私のおススメはオルファ(OLFA)の大型カッターです。
また、後のパテ処理を簡単にするために、カットした面を面取りカッターやボードカンナで処理します。
ここでのポイントはカッターの歯は早めに交換すること。
きれいな仕上がりにするために、カッターの歯はケチらず、切れ味が落ちてきたと思ったら歯を折って使いましょう。

次にボードとボードのジョイント部に下地用テープ(ファイバーテープ)を貼ります。
これは地震などで壁が振動した時に石膏ボードが割れないようにするためです。

合板の場合、私は5.5mmの構造用合板を使ってコーススレッドのビスで貼っていきました。
ここで安価な針葉樹合板を使うという方もいると思うのですが、節などが目立つ針葉樹合板は後々のパテ処理が大変なため、私は選びませんでした。
ホームセンターで積み上げられているラワン材構造用合板の中から、できるだけ節などの少ないものを探します。

これらの工程の際、スイッチやコンセントの場所をあらかじめ決めておき、石膏ボードや合板に穴を空けておくことも忘れずに。

コンセント用の穴あけには、引廻鋸(引き回しのこぎり)があると、とても作業がスムーズです。

4:パテ処理とやすり掛け(サンディング)

石膏ボード同士、合板同士の境い目、ビス穴、節穴など凸凹した箇所にパテを塗っていきます。
パテは乾くと痩せますので、

パテ塗り→やすり掛け→パテ塗り→やすり掛け→パテ塗り→やすり掛け

と3回繰り返すのがスタンダードです。

やすり掛けの際、サンダーなどの機械を使用しますが、とにかく粉塵が散りますので、防塵マスクと防塵メガネが必須です。
さらに集塵機で粉塵を吸い取って、パテの粉を吸い込まないようにしましょう。

5:壁の仕上げ…壁紙貼りや塗り壁・ペンキ塗装

前項までで壁の下地処理が終わりました。
ここからは壁の仕上げに入ります。
どんなデザインの壁にしたいのかによって、仕上げ方法が変わってきますので、あらかじめ立てたデザインプランに沿って進めていきましょう。

壁の仕上げ材としてよく使われるものを挙げます。

  • 壁紙クロス
  • 漆喰
  • 珪藻土
  • ペンキ塗装
  • タイル
  • 木材(無垢材や集成材など)

仕上げ材によっては、下地処理の一部を省略できるものもありますので、デザインプランを作る段階で段取りを確認しておきましょう。
それぞれの施工方法については、別の記事でご紹介していきたいと思います。

壁リフォーム例2:段差を残す施工=「真壁」を活かす場合

木造建築の良さを残して、真壁を活かす施工方法を2つご紹介します。

壁紙クロスを貼る

砂壁や繊維壁などに壁紙クロスを直接貼る方法の手順は、

  1. 下地処理剤で古壁の砂などがボロボロと落ちないように処理する
  2. 面の凸凹を平らにするためにパテを塗る
  3. パテが乾いたら、サンダーで平らにする
  4. 2、3を繰り返して壁紙クロスを貼る面を平滑にする
  5. 壁紙クロスを貼る
  6. 巾木を取りつける

となります。
この方法のメリットは

  • マスキングテープなどでの面倒な養生の工程がいらない
  • ビニール素材の壁紙クロスなら拭き掃除ができる

デメリットは

  • パテ塗りに手間と時間がかかり、パテも相応分の量が必要になる
  • サンダーでのやすり掛けの際、粉塵が出るので掃除が面倒
  • パテ塗りが不十分だと、壁紙クロスを貼った時に空気が入ってしまう

といった点があり、総合的に正直あまりお勧めできないかな……と思います。

既存の壁の上に塗装する

砂壁や繊維壁などへの塗料は、

  • 漆喰
  • 珪藻土
  • ペンキ
  • MORUMORU(モルモル):水性シリコン壁用仕上材

などがあります。
共通する施工手順としては、

1:古い壁の状態確認

「損傷はどの程度か」「壁の種類は何か」等を確認して、穴が空いている箇所などは補修します。

2:壁の汚れや砂を落とす

ボロボロと落ちる壁の砂やホコリを掃除機やほうきなどを使って、軽く落とします。
その際ブルーシートなどを床に敷いておくことをおすすめします。落とした砂をまとめて掃除できて、掃除の手間を減らすことができます。
また、次の工程で養生するマスキングテープがしっかりと貼れるように、柱などの木部もブラシや雑巾でホコリを落としておきましょう。

3:下地処理剤を塗るための養生

古い壁は汚れだけでなく、後々になってアクが浮き出てきますので、アク止めシーラーを下塗りします。
シーラーが柱や窓・建具・コンセントなどについてしまわないように養生します。

マスキングテープはさまざまな幅のモノが売られていますが、塗料のはみ出しを防ぐためにも、初心者はある程度太めのものを使うと良いと思います。
参考までに、私が愛用しているのは30mmのマスキングテープです。

4:選んだ塗料に適したシーラーで下地処理

漆喰に合うシーラー、珪藻土に合うシーラーなど、それぞれの塗料に適した下地処理剤がありますので、それらを壁に塗ります。

1回塗りで良いものもありますが、私が珪藻土を塗った際には2回塗りのものを選びました。
1回目は壁に染み込む分が多いため、なかなか作業が進まない……と感じますが、2回目は塗膜ができているので、スルスルと塗れました。

5:仕上げの塗装

下地が乾いたら、選んだ塗料を壁に塗っていきます。
漆喰や珪藻土を左官コテで塗ると、塗り方でいろいろな模様を付けることができます。
最近の漆喰や珪藻土は、コテで塗るだけでなくローラーやハケで塗れる商品もありますので、比較的簡単にチャレンジできるのでお勧めです。
ペンキは室内用の水性ペンキで塗ることができます。
漆喰や珪藻土よりも色の種類が豊富なので、ペンキを選ばれる方も多いと思います。
MORUMORU(モルモル)は塗料大手メーカーのニッペプロダクツ(株)から販売されている水性シリコン壁用仕上材です。
特徴は「手で塗ること」。DIY初心者でも簡単に塗れて、漆喰風の質感や風合いに仕上げることができます。

6:養生を外す

仕上げの塗料が乾ききる前に、養生を剥がしていきます。
少し乾いて塗膜ができたくらいのタイミングでゆっくりと剥がすのがポイント。

剥がしている段階でマスキングテープについた塗料が手や洋服につくこともありますので、ビニール手袋や汚れても良い服装を用意しておきたいですね。

塗料が完全乾いてから養生を外すと、せっかく塗った塗料がマスキングテープと一緒に剥がれてしまうので、要注意です。
もし乾き過ぎてしまった場合には、マスキングテープの際をカッターで切りながら外すと、きれいに剥がせます。

まとめ:DIYで和室の壁を洋室風に

和室独特の砂壁や繊維壁のリフォームについて、ご紹介してきました。
施工にあたっては、「柱・梁などの木部」と「壁の色」の組み合わせなど、部屋のデザインについてあらかじめイメージしてプランを決めておきましょう。

古い柱や梁などの木部、古い壁からは、長年の汚れだけでなくアクなどが出てきますので、汚れ落としやアク止めなどを丁寧に行うのも成功させるポイントです。

DIY初心者の私でも、失敗しないようポイントを押さえてプラン通りに進めることで、和室の壁を洋室風に変えることができました。

自分の手で生まれ変わった和室の壁はとても愛おしく感じるもの。
古い壁を変えたい!と思っている方は、ぜひDIYにチャレンジしてみてください!

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